クメール正月が間近である。正月休み(4月14日から16日まで正月休暇3連休)の前後各1週間、クメール人たちは休みを取るものが多い。企業や店舗は祝日3日間でしょう、なんていう雇用者の都合を言えば、「なら、辞めます」と言われ困惑する外国人経営者も多い。
そしてクメール人の生活が豊かなものほど、この正月前後の1週間は泥棒に身構えている。つまりこの時期は泥棒たちの「稼ぎ時」なのである。
先ずは市場や路上、トゥクトゥク乗車時などひったくりやスリにご用心!、プノンペンの人通りが少なると、夜間は強盗、昼間から空き巣狙いが増えてくる。プノンペンに1年間住めば、泥棒、内臓の病気、交通事故は外国人なら防げないというほど多い。ひったくり現場や交通事故現場、日本なら一生に何度かだが、カンボジアでは1年に何度か見かけることになる。
早速引ったくり被害のニュースがある。ひったくり犯2人は、7日夜プノンペン携帯電話を奪おうとした事件があった。こうした事件は決して珍しいことでは、逆に日常的である。だが、プノンペン市民も在住外国人もカンボジアの警察への信頼は極端に低いから、少々の引ったくりや泥棒被害は届けない。届けても犯人が捕まらない、かえって警察のお金を要求される、まるで二重の泥棒にあったような結果になるのだから、届ける者はほとんどいないのが実情である。大使館に相談したって相手にされないか、慇懃無礼に聞いてくれるだけで何等有効な手を打ってくれるわけじゃない。憤慨しても、憤慨するエネルギーの無駄とそのうち解って来る。
さて、上記の引ったくり、2022年4月7日の午後6時に、コンポル地区カントゥク区Kantouk Cheung村国道4号線沿道で女子学生が被害にあった。
警察情報よると、被害者はワットプノン近くの学校に行くためにバイクに乗っていた。その後、2人の強盗が被害者から電話を奪い、国道4号線に沿ってロシア連邦道路に向かって西から東に逃げた。
被害者は泥棒!と叫び、それに気づいた地元の人々は犯罪者を追いかけ、ポッケントン紹介病院の入り口近くで2人乗りバイクを捕まえた。地元の人々は2人を殴打して罰を与えた(所謂私刑=リンチ)、その後現場に到着し警察に渡された。この泥棒、逃亡、確保、リンチという流れ、思えば数年前に起きたシェムリアップでの日本人2名によるタクシー強奪殺人事件も同じケースを辿った。日本人犯人を追いかけた地元民によって、警察官が到着するまでリンチを受けている。
掲載写真:Khmer Timesより