過去2か月間、カンポット州で外国人を標的としたしばしば暴力的な犯罪が急増したことで、普段は穏やかな川沿いの観光地の一部の人々の間で懸念が拡がっている。
シハヌークビルの中国化に伴い、カンポットに移り住む欧米系外国人
ここ5年、シハヌークビルの中国化が激しく進むにつれ、かつて目立っていた欧米系の外国人の姿消え、声高な中国人たちが闊歩するようになった。それに伴い欧米系を中心とする外国人がカンボットに集い始めた。コンポンバイの川沿いが欧米系の外国人の集まる場所だが、市内各所に外国人が住み着き始めるとお洒落なカフェやレストラン、小奇麗なホテルの立地する。中国人の街と化したシハヌークビルから、欧米系外国人が消えると欧米系を追いかえるように休暇の行楽地を求めるカンボジア人もシハヌークビルを嫌い、カンポットを目指すようになった。中国の投資家がカンポットの海岸線を買い占めているという話は聞くが、2020年のコロナ禍と2019年までの中国マフィアの進出も取り締まりの強化もあって中国人の勢いが鈍化した。
戦争も飢えも知らない年少のギャングが育ってきた
上記の動きもあって、在カンボジアの余裕のある欧米系外国人の目立つ街となったカンポットである。が、そこに戦争も飢えも知らない世代のギャングも育ってきたかのようだ。多くは薬物との関わりもある。もの豊富になっても、教育レベルが遅々として向上せず、公共機関は腐敗に蝕まれている。そこに年少のギャングの温床がある。
手っ取り早く、中年以上の外国人の保養地の感のあるカンポットの欧米系外国人、彼等の格好の手っ取り早いお金を得る手段としてのんびりしている欧米系外国人は格好の標的となっている。今年に入ってカンボジア人による欧米系女性の強姦事件も起こった。これは、もはや距離間のある、ある種の別世界に住む外国人ではなくなったことを意味する。既に犯罪では、外国人の植民地感覚は払しょくされたことを意味する。外国人なんて怖くはない。10年前のプノンペンの犯罪増がカンポットに移っただけである、ように見える。
カンポット州警察署長:Mao Chanmathurith少佐は、この対外国人犯罪の急増を承知している、と述べ、12月7日、カンポット市のソルトワーカーズラウンドアバウト近くの英国人駐在員を攻撃したとされる若いクメールトゥクトゥク運転手とその兄弟を警察が逮捕した、と言う。
カンポットの複数の欧米系駐在員によると、犯罪のほとんどは、ラウンドアバウトの近く(カンポット市の旧市場の周辺)とケップにつながる国道33号線沿いで発生しいる。
別の事件は、英国人駐在員が彼女の名前をエリーと名付ける女性が、11月28日の早朝にケップロードとしても知られる国道33号線でバーから自転車で家に帰る途中、3人の男性による強盗に遭った。自転車を押したおし、暴行によって彼女のバックを奪おうとした、という。被害者:エリーは、過去2か月間に約18件の同様の事件が発生したと推定しており、その数は他の外国人の推定と一致していると述べている。
外国人に限らず、カンボジア人も警察への信頼度が低いから
多くが犯罪被害を届けない
が、複数の外国人によると、多くの外国人は警察への信頼度低く(これは欧米系に限らず多くの在カンボジア外国人の思っていること)、犯罪を報告することを躊躇しいるのが実態である。被害者になって外事警察に出向いても、事件報告書を書いてもらうのに金銭を徴収され、それで犯人が捕まらないのなら…と思うのが普通である。これは、外国人に限らず、カンボジア人の多くが同じようにしている。現に交通カメラや防犯カメラに犯罪が写ってもいても届けない人が多い、と警察幹部は話す。
上述の警察署長は、外国人を保護するために犯罪に対して強力な行動を取ることに約束しており、警察は調査している、と述べている。また、幹線道路や観光名所の近くに防犯カメラの設置を増やすという。