カンボジア ASEAN外相会議にミャンマー軍任命の外相を招待せず

4日のNHKニュースにカンボジアについて報道があった。見出しは上記のようなものである。

カンボジアが今年ASEANの議長国になる及び鳴り物入りで喧伝されたフンセン首相のミャンマー訪問は、ASEAN議長国の立場を利用したミャンマーの軍の政権に対するASEAN合意に逸脱するものとしてシンガポールをはじめとするASEAN諸国の内部から批判が続出と沈黙を守っている国々の冷ややかな反応でただ一つ積極的な支持に回ったのは、中国=ラオス鉄道の開通で「債務の罠」に陥ると懸念されているラオスのみであったという外交孤立に到った。そのため1月半ばに恒例のASEAN外相会議が異例にも延期された。カンボジア国内ではその背景は報道されていないが、要はASEAN内部から突出したフンセン外交には加担できないと外相参加を見送る国がいくつか出てきたためである。

その後も政府広報を担うKhmer Timesには手を変え品を変えたASEANについての話題やミャンマーへの外交が記事になるが、カンボジア人とて日頃のカンボジア外交に関心のある層は、当然の如く外国での報道に眼を向けているのが常識である。

*下の記事を参考に

 

4日のNHKニュースは「ASEAN=東南アジア諸国連合の今年の議長国を務めるカンボジアは、今月開催予定の外相会議に、ミャンマー軍が任命した外相を招待しないことを明らかにした。ASEAN議長国のカンボジアは今月16日から、外相会議を開くとしていますが、カンボジア外務省の報道官は3日「ASEAN加盟国はミャンマー軍が任命した外相を会議に招待するという合意に至らなかった」と述べたうえで、「官僚などが想定される非政治的な代表の参加を求めたことを明らかにした。」という。理由については去年4月、「ミャンマー軍のトップも出席したASEANの首脳級会議で合意した暴力の即時停止や特使の受け入れなど5つの項目でほとんど進展が見られないためだ」と説明しています。
「カンボジアは会議への加盟国すべての参加を目指して調整を続けていましたが、ミャンマー軍に対しては厳しい姿勢を続けるべきだとするインドネシアやマレーシアなどが反発したため断念せざるをえなくなったものとみられます。」
「ASEANは去年10月の首脳会議でもミャンマー軍トップの参加を認めず、これに対してミャンマー軍は代理を立てず、会議を欠席しています。」

こうした報道が日本で取り上げられる一方、カンボジア国内では、同日の4日に政府広報を担うKhmer Timesは、

ミャンマー外相と会談するフンセン首相 画像:Khmer Times

「ミャンマーの軍事政権は木曜日、地域ブロックのアセアンが軍の政権の外交官が来たる外相会議に出席することを禁じたため、新たな外交的打撃を受けた。」

「当初1月18日と19日にシェムリアップで開催される予定だったアセアン外相の撤退は延期され、現在は2月17日と18日にプノンペンで開催される予定です。」

「10ブロックからミャンマーを除く9カ国のうち少なくとも6カ国がサミットへの物理的な出席を確認しました:マレーシア、インドネシア、シンガポール、ラオス、ベトナム、タイ」などである。

「現在、ブロックの交代議長を務めているカンボジアは、ミャンマーを取り巻く危機を和らげようとするために昨年首脳によって合意された「5点合意」についてはほとんど進展がなかったと述べた。」

という報道がなされている。事実は、突出したフンセン外交に対して不快感からASEAN諸国内部からブレーキをかけたのであるが、もちろんカンボジア国内では上記以上の説明報道はない。

*Khmer TimesはASEANのミャンマー対応に対するカンボジア政府の記事は、4日の午前と午後では記事に差し替えを行っている。

*クーデターとは:軍事力を背景に国家権力を非合法に強奪。

*なお、軍の任命した国連大使は依然として昨年2月1日のクーデター事件以前の大使が国連で議席を占めている。軍の非合法政権は国際的にも認められていない。

*また、クーデター以前から現在の国連大使を軍の指示で暗殺しようとした在米ミャンマー人が米国で検挙されている。

掲載写真:NHKニュース

 

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