
表向きは中国人実業家(裏では戦後世界・最大の金融事件、国際詐欺組織のドン)の陳志氏の逮捕と国外追放は、カンボジアが独自にオンライン詐欺やマネーロンダリングに対処する能力があることを示す証拠であると、Khmer Timesは報じられている。
その理由にタイを含む外国勢力がカンボジアの主権問題への干渉を正当化する主張に反論するものとして、カンボジアの国際問題専門家から歓迎されていると、言わずもがな事を報じている。だが、今回のアジア最大の国際犯罪組織のドンやその側近の逮捕は中国政府の圧力がなければ不可能だったというのが、世界の論調である。早速、この犯罪組織の表向きの合法事業の凄惨に入っている。6日に中国に送還され、これ見よがしの動画は中国によって公開され、各国のメディアが取り上げている中、プリンス・グループの清算開始はその手回しの良さからも中国政府の意思が強く働いている。

この事件、6月末にタイが犯罪組織のドン:中国人陳志を訴追し、カンボジア国内に同容疑者の10か所の国際詐欺組織の拠点を公開している。そして10月には米国の訴追が続き、さらに米英両国が陳志の暗号資産を凍結した。BBCによれば、<アメリカは昨年10月、カンボジアからインターネット詐欺を行い、巨額の暗号資産を盗んだとして、中国南東部出身の陳氏を訴追した。
*下の記事をご参照ください。
米財務省は、同氏が所持していたとする140億ドル(約2兆2000億円)相当のビットコインを押収。イギリスも、同氏の国際ビジネス組織「プリンス・グループ」に制裁を科した。>と今回の逮捕・中国送還事件を1月8日付で記事で指摘しており、「米検察当局は、史上最大級の金融犯罪の摘発の一つであり、ビットコインの押収額としては過去最大規模だとした。」とも指摘している。カンボジア国内の報道によれば、「中国はカンボジア警察と協力して数か月の内偵を進めていた」と報じた。
この事件は、カンボジア・タイの国境紛争の一つの背景として中国をはじめ、世界各国は注視している。
カンボジアで合法事業を展開する一方でカンボジアに国際詐欺拠点を置く複合企業:プリンス・ホールディング・グループの創業者である陳志(チェン)は、中国出自だが、ここ10年で合法事業を一気に拡大しているが、中国出自であること以外、その略歴については報道されておらず、どのようにカンボジア政府に喰い込めたかもその詳細は明らかになっておらず、詳しくは英米や中国の発表を待つしかない。陳志(チェン)は徐吉良氏と邵吉輝氏という2人の中国人とともに中国に送還されいる。
カンボジア内務省は7日(水)、この措置は国際犯罪に関する合同捜査の結果であると発表し、
「この作戦は、カンボジアと中国の当局による数カ月に及ぶ合同捜査の後、2026年1月6日に実行された」
と内務省報道官のタッチ・ソカク氏は述べている。
同省は、カンボジア国籍法に基づき、チェン氏のカンボジア国籍が昨年12月に剥奪されたことを確認し、また国王から授与された名誉称号もまた剥奪されている。
Khmer Timesは現在、陳志が犯したとされる犯罪についてのさらなる詳細は明らかにされていないと述べている。隠し財産の暗号資産が140億ドル(約2兆2000億円)相当のビットコインなのだからその数倍にあたる巨額な資金が国債詐欺事件や人身売買犯罪に得られたものと推測されている。
内務省は、「カンボジア政府の行動は治安維持と法の支配の執行における国際協力へのコミットメントを反映している」と述べ、陳志はその貢献(?)により、カンボジアの尊称『ネアック・オクニャ』を授与され、また陳志は、フン・セン元首相やフン・マネト首相をはじめとするカンボジアの有力政治家の顧問を務めていたと発表した。そして「昨年10月、チェン氏は、世界中の被害者を欺くためのいわゆる「詐欺団地」を含む、広大なサイバー犯罪ネットワークを運営していたとの容疑で、米国と英国政府から制裁を受けた。米国当局は、通信詐欺とマネーロンダリングの共謀罪でチェン氏を起訴し、チェン氏と彼の企業に関連する数十億ドル規模の資産を押収した。」とも付け加えている。
国際犯罪組織の首領(ドン)を代表とするプリンスグループの銀行清算が始まる

今回の国際犯罪組織のドンと幹部の中国人3人の逮捕と中国送還を機に、カンボジア国立銀行(NBC)は「15日(木)、プリンス銀行が清算され、銀行としての業務を行うことができなくなる」と発表した。
NBCは通知の中で、この決定はカンボジアの法律に基づいて行われたと述べている。
カンボジアの中央銀行:国立銀行(NBC)は、この手続きを監督するため、モリソン・カクMKA監査会計会社を清算人に任命した。
NBCは「清算の結果、プリンス銀行は今後いかなる銀行業務も行うことができなくなる」と伝え、通知の日付以降、任命された清算人には銀行のすべての資産と業務を管理、運営、処分する完全な権限が与えられたと付け加えている。
NBCによると、預金者は必要な書類を揃えれば通常通り資金を引き出すことができる。引き出しは、銀行・金融機関法に基づき、優先順位に基づいて行われる。
同時に、借り手は契約上の義務を継続的に履行する必要があると同社は述べた。
9日の時点では、同グループの多くの子会社や、高級不動産、銀行サービス、ホテル、大規模建設開発への投資がどうなるかは不明のままだった。
上院報道官:チア・ティリス氏は7日(水)のソーシャルメディアへの投稿で、「何人も自分の地位や国の指導者とのつながりを利用して犯罪を逃れることは許されない」と述べ、「法を破った者は、その立場に関わらず、正義の手から逃れることはできない」、「指導層、特に党首や国家元首と結びつき、自らの違法行為を隠蔽・保護し、国民に危害を加えようとする者は、与党(人民党)が徹底的に排除する第一の標的だ!」と強調した。
国内の国際問題の専門家と称する人たちは、チェン(陳)に対する政府の措置とオンライン詐欺の取り締まりを歓迎した。これらの措置は、カンボジアが他国、特にタイの介入を必要とせずに、犯罪を根絶する能力と政治的意思を持っていることを証明していると彼らは付け加えた。
タイは、カンボジアに対する最近の軍事行動を、オンライン詐欺との戦いと関連付けている。
軍を含むタイ当局は、今回の攻撃と治安対策を、国境を越えた犯罪ネットワークによって運営されている「詐欺センター」やサイバー犯罪拠点を標的としたものだと位置づけた。
これらの拠点は、オンライン詐欺、マネーロンダリング、人身売買に関与することが多く、国境付近のカジノ型複合施設に拠点を置くことが多い。
アジアン・ビジョン・インスティテュートのチェン・キムロン所長は、「カンボジアは独立した主権国家として、平和、安定、法の支配、社会の進歩を確保するため、国際法と国内法を断固として執行してきた」と述べた。
同氏はさらに、「カンボジアは、タイがカンボジア領内で違法な活動を行うずっと以前から、フン・マネ首相の指導の下、違法行為を取り締まる政策を定めていた」と付け加えた。
カンボジア当局はテクノロジー関連の詐欺の取り締まりを強化しており、オンライン詐欺対策委員会事務局の2025年下半期報告書によると、現在裁判所は首謀者や共犯者とされる168名が関与する35件の重大事件を扱っている。
国際パートナーや国連薬物犯罪事務所(UNOADCR)東南アジア太平洋地域事務所は、サイバー詐欺撲滅に向けたカンボジアの取り組みを称賛し、同氏は、「カンボジアは、ほぼ全員が外国人であるオンライン詐欺師たちとの戦いに勝つために、同様の規制とその実施の改善をさらに進める必要がある」と強調している。
今回のカンボジア発の事件、今後どうなるか、はほぼ2つの事によって明らかになるであろう。
① 中国に送還された国際犯罪組織の首領(ドン)と幹部2名の追求と裁判結果。そしてアジア最大の犯罪組織の逮捕がわずか3名に限られるわけでなく、犯罪の主要部分を分業統括していた幹部連中の逮捕がどこまで拡大されるかに注目が集まる。
ミャンマー北部・中国国境地帯の2犯罪つの中国マフィア組織の首謀者一家は全員死刑判決が出ており、犯罪組織解体に向かっている。また、タイに接するミャンマー東部の反軍事政権支配地の中国マフィアの詐欺拠点は、中国の強力な要請で反軍部少数民族の武装勢力とタイ軍が協力して、昨年から犯罪組織撲滅に乗り出している。
カンボジアの今回の事件、詐欺のかけ子は多国籍の外国人だが、詐欺犯罪組織の幹部からかけ子の管理・監視する末端の組織員はほぼ中国人たちマフィア構成員であり、本気で詐欺拠点の壊滅に動くならば数百人規模の中国人の逮捕・拘留となるであろう。
② プリンス・グループの合法事業の解体、移行がどこまで、どのように進むか。まだ銀行部分の清算にとりかかったばかりである。
暗号資産化されていない犯罪組織の「隠し財産(巨額の資金と所有物ープライべートジェットや豪華ヨットや各種の不動産)」を中国やカンボジア捜査機関がどこまでメスを入れられるか、特に米英や主要各国はそこに注視している。
掲載写真:Khmer Times



