ASEANの未来に楽観的なツィート
米国のアントニー・ブリンケン国務長官は6日、カンボジアを議長国とする第 55 回 AMM および関連会議に参加した後、ASEANに楽観的な見解を残してプノンペンを後にした。
同国務長官は、「カンボジアを出発するにあたり、ASEAN外相や他の地域の指導者との会談を振り返っています。私たちは共通の目標に向かって前進しました」とツイートし、「私は、インド太平洋地域のビジョンに向けて、私たちがまだ一緒に成し遂げることができる進歩について、楽観的な見方をしています」と付け加えている。
同日の記者会見で、ブリンケン首相は、輸出市場や開発援助などの既存の協力に基づいて、米国がカンボジアと前向きな関係を維持し続けることを再確認した。
プノンペン滞在中、彼はまた、カンボジアの農業部門における食料安全保障と経済成長を促進するための2,500万ドルの新しいプロジェクトを発表しました。
米国国務長官は現在フィリピンを訪問しており、その後、8月12日まで南アフリカ、コンゴ民主共和国、ルワンダを訪問する。まさに「対中・露包囲外交」であることは明かである。
台湾問題、ASEANでの中国への理解は2国のみ、ロシア外交は成果なし
今回のカンボジアでのASEAN会議は、① ミャンマー軍事政権への失望と怒り、② 中国の王毅外相のASEANに対する働くかけは、かなり露骨でその思惑が際立った感がある。
①について
9月のカンボジアの外相がミャンマーを訪問するという発表があるが、既にミャンマーはASEANの共同声明を拒否しているので、訪問の可否も含めて、成果は期待できない。
②について
台湾問題については林外相の演説時に退場した中国、南シナ海の領有問題では近隣国以外の介入を排除と訴えた(要は、ベトナム、インドネシア、フィリピンの反対なんぞ威嚇でどうにかなる、米国や日本の排除)たが、台湾問題は中国の内政問題としたのは、多額の債務を抱えるラオス、カンボジアの2国のみ支持しか得られなかった。ラオスの現政府は親中派が多数を占めているが、背後にベトナムが隠然とした影響力を維持していることはカンボジアと同様であり、カンボジアの外交姿勢は表向き親中派であるが、米国や日本への配慮に気を使っているのが実情である。ましてや、台湾問題での軍事的な威嚇をすればするほど、ベトナム、フィリピン、マレーシア、インドシアが南シナ海での中国の存在感が増すことは脅威でしかない。
かつて中国は米国を「張り子の虎」と揶揄したが、今回の台湾への軍事圧力は中国のなりふり構わぬ姿勢こそが張り子の虎になりかねない。習近平政権の焦りや追い込まれた状況がかえって顕著になった感がある。台湾を含めた周辺国は、NEWSに現れる脅しと中国軍の実力を冷静に分析しているはずである。これでウクライナ侵攻のロシア以上に中国の動きは見透かされたことになる。
香港の運命を見て来た台湾は、一層中国への警戒心を高め、台湾内の親中派は凋落の一途となろう。その意味では、かえってASEAN会議では孤立が目立った感がある。また、ロシアにについては、窮状を訴える外交姿勢の感があり、具体的な成果をあげなかった。
台湾問題は、ベトナム、日本、フィリピン、韓国の軍備力充実と反中感情として中国に返ってくる。
こうした状況がブリンケン国務長官の楽観的な見通しに繋がったものと思える。
掲載写真:Khmer Times